平成あるある~「スヌード(輪っか状のマフラー)」を首に何重にも巻いて、顔の周りに異常なボリュームを出す。
平成の冬、街を歩けば必ずと言っていいほど見かけたアイテムがあります。それが輪っか状になったマフラー、いわゆる「スヌード」です。首に何重にも巻きつけて、顔の周りにボリュームを持たせるスタイルが大流行しました。マフラーのように結ぶ手間がなく、頭からすっぽり被るだけで簡単におしゃれが完成するという手軽さも人気の理由でした。今回は、そんな平成のスヌードブームを振り返りながら、当時の空気感を思い出していきたいと思います。
1.スヌードとはどんなアイテムだったのか
スヌードとは、筒状に縫い合わされた輪っか状のマフラーのことを指します。通常のマフラーであれば首に巻いてから結んだり、端を差し込んだりする必要がありますが、スヌードはそのまま頭から通すだけで装着が完了します。この手軽さが、忙しい朝の身支度において大きな武器になっていました。特に電車に乗り遅れそうな朝や、着替えに手間をかけたくない日には、スヌードをさっと首から通すだけで防寒対策が完了するという点が重宝されていました。
素材はニット地やファー素材が主流で、モコモコとした質感のものが特に好まれていました。色はグレーやベージュ、黒といった落ち着いた色味から、ピンクや赤などの差し色になるものまで幅広く展開されており、コーディネートに合わせて選べる点も魅力のひとつでした。編み目の粗いローゲージニットのものは特にボリュームが出やすく、輪っかの中に空気の層ができることで見た目以上に暖かいという声も多く聞かれました。
価格帯もさまざまで、量販店で手頃な価格のものを購入する人もいれば、セレクトショップでブランド物のスヌードを選ぶ人もいました。当時は雑誌の付録としてスヌードが付いてくることもあり、手軽に流行を取り入れられるアイテムとして幅広い年代に浸透していったのです。
2.なぜ何重にも巻くスタイルが流行したのか
平成の中頃から後半にかけて、スヌードは「何重にも巻いて着用する」という独自のスタイルへと発展していきました。一重で軽く巻くのではなく、二重、三重と巻き重ねることで首元から顔周りにかけて大きなボリュームを演出するのが当時の主流だったのです。
このスタイルが広まった背景には、雑誌やテレビに登場するモデルやタレントの影響が大きかったと考えられます。顔周りにボリュームを持たせることで小顔効果が期待できるとされ、多くの女性たちがこぞって真似をしました。また、防寒性の高さも見逃せないポイントで、何重にも巻くことで首元はもちろん、あごの下まですっぽりと覆うことができ、冬の冷たい風から肌を守ってくれる実用性も兼ね備えていました。
さらに、当時人気を集めていた女性ファッション誌では、冬のコーディネート特集のたびにスヌードが取り上げられており、「今年はスヌードを何重に巻くか」ということ自体がひとつの話題になるほどでした。友人同士で「何重に巻いている?」と聞き合ったり、二重巻きと三重巻きのどちらが可愛いかを議論したりする光景も、当時の若者の間ではごく自然な会話として交わされていました。学校の休み時間や職場の休憩中にも、こうしたファッションの話題で盛り上がる人が多かったことも、平成らしい思い出のひとつと言えるでしょう。
3.顔周りが異常なボリュームになる着こなしの実態
当時の着こなしを振り返ると、スヌードを巻いた姿はまさに「顔だけがちょこんと出ている」ような状態でした。首から顎、時には口元近くまでスヌードで覆われ、顔の輪郭がほとんど見えなくなるほどのボリューム感を出す人も少なくありませんでした。
友人同士で会うと、お互いにスヌードで顔が埋もれてしまい、誰が誰だか一瞬わからなくなるといった場面もよく見られました。それでも当時はそれが「かわいい」「おしゃれ」とされており、むしろボリュームがあればあるほど良いという価値観が広く共有されていたように思います。通学中や通勤中の駅のホームでも、スヌードで顔を覆った学生や社会人の姿が数多く見受けられました。
また、マスクとスヌードを併用する着こなしも冬の定番となっていました。口元をマスクで覆い、その上からスヌードでさらに顔周りを覆うことで、目元しか見えないほどの防寒スタイルになる人も珍しくありませんでした。花粉症対策や乾燥対策としても重宝されており、ファッション目的だけでなく実用面からもこの着こなしが定着していった側面があります。友人と待ち合わせをした際に、目元だけで相手を判断しなければならず、思わず笑ってしまったという経験を持つ方も多いのではないでしょうか。
4.コーディネートとの合わせ方の傾向
スヌードは単体で存在感のあるアイテムであるため、全体のコーディネートはシンプルにまとめる傾向がありました。ダッフルコートやピーコートといったアウターに合わせることで、スヌードのボリューム感がより際立つスタイルが好まれていたのです。
また、ニット帽とスヌードをセットで着用するスタイルも人気を集めました。頭から首元にかけて全体をニット素材で統一することで、まとまりのある冬らしいコーディネートが完成します。手袋やブーツも同系色でそろえることで、統一感のある着こなしを楽しむ人も多くいました。当時のファッション雑誌でも、スヌードを主役にしたコーディネート特集が数多く組まれていたことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
一方で、スヌードのボリュームが大きすぎることで、バッグの肩紐と干渉してしまったり、コートのファスナーを上げにくくなったりするという、ちょっとした不便さもありました。それでも見た目のかわいらしさを優先し、多少の使いにくさには目をつぶるという人が多かったのも、当時ならではの価値観だったように感じられます。ロングヘアの人であれば、スヌードの中に髪を入れ込むかどうかでも印象が大きく変わるため、鏡の前で何度も巻き方を調整するのが日課になっていたという声も聞かれました。
5.平成のスヌードブームが今に残したもの
平成のスヌードブームは、令和になった現在でも形を変えながら受け継がれています。近年ではネックウォーマーやチューブマフラーといった名称で販売されることも多く、機能性を重視したシンプルなデザインのものが主流になってきました。当時のように何重にも巻いて顔を覆うような着こなしは減りましたが、防寒アイテムとしての実用性は今もなお高く評価されています。
当時を知る世代にとって、スヌードで顔周りをぱんぱんにしていたあの冬の光景は、懐かしい平成の思い出のひとつとして記憶に残っているのではないでしょうか。友人と写真を撮れば、みんなスヌードで顔が半分隠れていたという経験がある方も多いはずです。ファッションのトレンドは移り変わっていきますが、あの独特なボリューム感は平成という時代を象徴する光景のひとつだったと言えるでしょう。
現在でもスヌードそのものは冬の防寒アイテムとして根強い人気を保っていますが、当時のように顔がほとんど見えなくなるほど巻き重ねる着こなしを見かける機会は少なくなりました。むしろ最近では、一重でさらりと合わせるシンプルな着こなしが主流となっており、時代とともにスタイルの好みが変化してきたことがうかがえます。それでも、あの頃の写真を見返すと、家族や友人と一緒にスヌードでぐるぐる巻きになりながら過ごした冬の日々が、温かい記憶としてよみがえってくるという方も多いのではないでしょうか。世代を超えて語り継がれる平成ファッションのひとつとして、スヌードはこれからも懐かしさとともに思い出されていくアイテムであり続けることでしょう。
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