ロケット鉛筆の芯を押し出す快感!しかし1本も失くさず使い切るのは至難の業だった平成あるある

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はじめに:「カチッ」と新しい芯が顔を出す、あの小さな達成感

平成あるある~ロケット鉛筆の芯の先が丸くなってきたら、後ろから新しいのを押し出して尖らせる快感。 しかし、芯を1個も失くすことなく使い切るのは至難の業でした。

平成の小学校で、筆箱の中に必ず数本は入っていた「ロケット鉛筆」。書いているうちに芯の先が丸くなってきて、文字がだんだん書きにくくなってくる。そんなとき、鉛筆を逆さに持ち替えて、お尻の部分をコツンと机に当てる、あるいは指で押し込む——すると、カチッという感触とともに、中から新しい尖った芯がスルッと顔を出す。

あの瞬間の快感を覚えている方は多いのではないでしょうか。削る手間もなく、新品同様の尖った芯がいつでも使える——その仕組みの面白さに、何度も意味もなく芯を押し出して遊んでしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、その一方でロケット鉛筆には大きな弱点もありました。「最後の1本まで、芯を1個も失くさずに使い切る」のが、驚くほど難しかったのです。本記事では、ロケット鉛筆の仕組みと歴史を振り返りながら、あの「快感」と「至難の業」の両方について、事実に基づいて紐解いていきます。


第1章:「ロケット鉛筆」とはどんな筆記具だったのか

ロケット鉛筆とは、あらかじめ短く削られた状態の芯(短い鉛筆状のパーツ)を軸の中に複数本収納し、先端が丸くなったら後ろから新しい芯を押し出して使う筆記具です。多段式に重なった芯が、まるでロケットの段が分離していくような構造に見えることから、「ロケット鉛筆」という通称が付いたとされています。

この仕組みを発明したのは、台湾の洪蠣(こうれい)さんです。短くなった鉛筆を何本も削っている娘の姿を見て、笠のように重ね合わせることでその手間を省けるのではないかと考えたことが開発のきっかけとされています。1964年に発明権利を取得し、その後、台湾の百能文具公司から「Bensia(ベンシア)免削鉛筆」(「免削」は「削らなくてよい」という意味)として世界に向けて発売されました。

日本では「ロケット鉛筆」という名称が一般的ですが、これはレモン株式会社の登録商標です。日本国内では1970年代にコクヨから「テンシル」という名前で発売され、その後各社が追随する形で発売し、一時期大きなブームとなりました。


第2章:あの「芯を押し出す」仕組みと快感の正体

ロケット鉛筆の最大の特徴は、削る手間が一切かからないという点にありました。

軸の中には複数本の短い芯が一列に重なって収納されており、先端の芯が丸くなって書きにくくなったら、後ろの挿入口から新しい芯を押し込みます。すると、軸の中で前の芯が次の芯によって押し出され、すでに尖った状態の新しい芯が先端から飛び出してくる——という仕組みです。

この機構には、独特の心地よさがありました。削る作業が一切不要で、押し込むだけで一瞬にして「新品の尖った芯」が手に入る——その手軽さと爽快感は、鉛筆削りで地道に芯を削る作業とは全く異なる体験です。「カチッ」という感触とともに新しい芯が顔を出す瞬間は、ちょっとした達成感や面白さを伴うものでした。

授業に集中せず、意味もなく芯をカチカチと出し入れして遊んでしまった経験がある方も、平成の小学生には少なくなかったのではないでしょうか。あの「押し出す」という単純な動作には、なぜか繰り返したくなる中毒性のようなものがありました。


第3章:「1本も失くさず使い切る」が至難の業だった理由

ロケット鉛筆には、便利さの裏側に大きな弱点がありました。それが、芯の紛失問題です。

文房具の歴史を紹介する記事によれば、ロケット鉛筆は「中の芯先の一つを紛失すると使えなくなるという難点もありました」と指摘されています。軸の中に複数本の芯が連結して収納される構造上、途中の1本でも紛失してしまうと、それより後ろにある芯を前に送り出すことができなくなってしまうのです。

芯を紛失する場面はいくつか考えられます。最後の1本まで芯を出し切って、空になった軸からポロッと最後の芯が転がり落ちて行方不明になる。あるいは、筆箱の中で軸が分解してしまい、収納されていた芯がバラバラと散らばってしまう。さらには、机から落としたはずみで芯だけが転がっていき、見つからなくなってしまう——こうした「ちょっとした不注意」が、ロケット鉛筆の運命を大きく左右しました。

すべての芯を順番通りに最後まで使い切るには、紛失というアクシデントを一度も起こさずに済ませる必要があります。これは、活発に動き回る小学生にとっては、想像以上に難しいミッションでした。「最後まで使い切れた」という達成感を味わえた人は、実はそれほど多くなかったのかもしれません。


第4章:芯を失くした後の「行き場のないロケット鉛筆」

途中で芯を失くしてしまったロケット鉛筆には、悲しい運命が待っていました。

軸の中に残っている芯はあるのに、それを前に送り出す経路が途切れてしまっているため、機能しなくなってしまう。あるいは、すべての芯を使い切ってしまい、空っぽの軸だけが残る。こうなったロケット鉛筆は、筆箱の中で行き場を失い、文房具入れの奥にしまわれたまま忘れられていく——というパターンも少なくなかったのではないでしょうか。

それでも、せっかく気に入った軸のデザインだったり、お気に入りのキャラクターものだったりすると、すぐには捨てられず、「もしかしたらまだ使えるかも」と確認しては、結局使えないことを再確認する、という行動を繰り返した経験のある方もいるかもしれません。


第5章:シャープペンシルの台頭とロケット鉛筆の衰退

ロケット鉛筆は一時期大きなブームとなりましたが、その後、シャープペンシルの普及とともに次第に存在感を失っていきました。

文房具の歴史を紹介する記事によれば、ロケット鉛筆は「シャープペンシルの登場により、次第に衰退していきました」とされています。シャープペンシルは、ロケット鉛筆と同様に「削らなくていい」という利便性を持ちながら、さらに細い芯を使うことで長期間使い続けられ、芯ホルダーへの装填もロケット鉛筆ほど紛失リスクが高くないという利点がありました。

ロケット鉛筆とシャープペンシルは、どちらも「鉛筆を削る手間を省きたい」というニーズに応える文房具でしたが、より洗練された仕組みを持つシャープペンシルが、市場の主役の座を奪っていったのです。


第6章:今も生き続けるロケット鉛筆——そろばん検定という意外な活躍の場

シャープペンシルの普及によって主流の座を譲ったロケット鉛筆ですが、完全に姿を消したわけではありません。現在も特定の場面で重宝されています。

その代表例が、そろばんの検定試験です。そろばんの検定試験では、検定中に筆箱を開けてはいけないというルールがあるため、芯の交換が筆箱を開かずにできるロケット鉛筆が重宝されているとされています。そろばん用のロケット鉛筆は、そろばんを操作する際に邪魔にならないよう、短いタイプのものが販売されています。

また、クツワからは、短くなった鉛筆を捨てずに繰り返し使える鉛筆ホルダー「シンロケット鉛筆」も発売されており、エコロジーの観点からロケット鉛筆の仕組みが再評価される動きも見られます。

「いつまでも残したい文房具」として紹介されることもあるロケット鉛筆は、平成の小学生たちの机の中で活躍した記憶とともに、令和の今もひっそりと、しかし確かに生き続けているのです。


まとめ:押し出す快感と紛失の悔しさが両方あったから、忘れられない

ロケット鉛筆の芯を後ろから押し出して、新しい尖った先端を出す——あの「カチッ」という小さな快感は、削る手間のいらない画期的な仕組みが生んだ、平成の子どもたちのささやかな喜びでした。

一方で、軸の中の芯を1本でも失くせばすべてが台無しになってしまうという構造上の弱点は、最後まで使い切ることの難しさという、もうひとつの「あるある」を生み出しました。台湾で生まれ、1970年代に日本でブームとなったこの筆記具は、便利さと脆さを併せ持つ、なんとも人間味のある文房具だったと言えるでしょう。

押し出す快感と、失くしてしまう悔しさ。その両方の記憶があってこそ、ロケット鉛筆は平成を過ごした人々の心に、忘れがたい文房具として残り続けているのです。


本記事は、ロケット鉛筆の発明・歴史に関する文房具専門サイトの記事および公開情報に基づいて執筆しています。製品の仕様・発売時期は時代やメーカーによって異なります。


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