平成あるある~筆箱がカンペンから「チャック式のポーチ型(ナイロン製)」になり、大量のカラーペンやハサミを詰め込んでパンパンにする。
学生時代の筆箱、皆さんはどんなものを使っていたでしょうか。昭和世代にはお馴染みだった硬いプラスチック製の「カンペン」ですが、平成に入るとチャック式のナイロン製ポーチ型に主流が移り変わっていきました。カチャカチャと開け閉めする音が響くカンペンから、静かにジッと開くファスナー式のポーチへ。この変化は単なる筆箱の形状の違いだけでなく、当時の文房具文化や子どもたちのおしゃれ意識の変化そのものを映し出しています。今回はそんな平成ならではの筆箱事情、そしてパンパンに詰め込まれたカラーペンやハサミの思い出を振り返っていきます。
1. カンペンからナイロンポーチへ 筆箱の主役交代
昭和から平成初期にかけて主流だったのは、プラスチック製の硬い筆箱、通称「カンペン」でした。蓋を開けるとパカッと音が鳴り、中には仕切りがあって鉛筆や消しゴムがきれいに収まる構造です。丈夫で長持ちする反面、容量には限りがあり、机の上でうっかり落とすと大きな音が鳴り響き、授業中に気まずい思いをした人も多いのではないでしょうか。
平成に入ると、この定番だったカンペンに代わって、チャック式のナイロン製ポーチ型筆箱が徐々に台頭してきます。柔らかい生地でできているため、カバンの中でかさばらず、キャラクターものやブランドロゴ入りのデザインが豊富に登場したことも人気の後押しとなりました。特に女子児童・生徒の間では、キャラクター物のポーチ型筆箱を持つことがちょっとしたステータスになっていた時期もあります。
2. 容量無制限?パンパンに詰め込まれたカラーペンの数々
ポーチ型筆箱の最大の特徴は、その柔軟性による「詰め込み放題」感覚だったのではないでしょうか。カンペンのように仕切りで容量が決まっているわけではないため、気づけばどんどん文房具が増えていき、ファスナーが閉まらないほどパンパンになっている筆箱をよく見かけました。
特に平成のブームとして忘れてはならないのが、カラーペンの大量所持です。ノートを可愛くデコレーションするための蛍光ペンやマーカー、フリクションボールペンの多色展開、キャラクターものの色鉛筆セットなど、勉強道具というよりコレクションアイテムのような感覚で買い集めていた人も少なくないはずです。友達同士で新色のペンを見せ合ったり、貸し借りをしたりするのも日常の一コマでした。
3. なぜかハサミも常備 実用性と自己満足の間で
もう一つ平成の筆箱あるあるとして挙げられるのが、ハサミの常備です。授業でそこまで頻繁に使うわけではないのに、なぜか筆箱には小さめのハサミが入っていた、という記憶がある方は多いのではないでしょうか。プリントを切り貼りする図工や家庭科の時間に備えて、あるいは友達とシールを交換する際にサッと使えるように、といった実用的な理由もありましたが、正直なところ「持っていると安心する」という自己満足的な側面も大きかったように思います。
ハサミに加えて、のりやセロハンテープ、修正テープなども筆箱の中に詰め込まれ、気づけば本来の主役であるはずの鉛筆やシャープペンシルよりも周辺アイテムのほうが幅を利かせている、という状態になっていた人も少なくないでしょう。
4. 筆箱パンパン問題 ファスナーが閉まらない悲劇
ここまで紹介してきたように、カラーペンやハサミ、その他文房具を次々と詰め込んでいった結果、多くの学生が直面したのが「ファスナーが閉まらない問題」です。無理やり閉めようとしてファスナーの生地が伸びてしまったり、最悪の場合はファスナーの持ち手部分が壊れてしまったりすることもありました。
それでも新しい文房具が欲しくなれば、古いものを処分するよりも先に新しいアイテムを買い足してしまうのが子ども心というものです。結果として筆箱はどんどん重くなり、ランドセルや通学バッグの重量増加にもつながっていました。今思えば、限られたスペースに好きなものを詰め込むというその行為自体が、当時の子どもたちにとって一種の楽しみだったのかもしれません。
5. デザイン文化の進化 ポーチ型筆箱がもたらした個性の表現
ナイロン製ポーチ型筆箱が普及したことで、筆箱は単なる文房具入れから「自己表現のアイテム」へと変化していきました。カンペンの時代は基本的にシンプルなデザインが中心でしたが、ポーチ型になると生地の柄やキャラクターのプリント、ブランドのロゴなど、選択肢が一気に広がります。自分の好きなキャラクターやブランドの筆箱を持つことで、クラスメイトとの会話のきっかけになったり、仲の良い友達とお揃いのものを選んだりすることも増えました。
また、複数の筆箱を使い分けるという文化もこの頃から見られるようになります。普段使い用とお出かけ用、あるいは教科ごとに筆箱を変えるといった使い方をしていた人もいるのではないでしょうか。こうした変化は、平成という時代における子どもたちの消費行動やファッション意識の広がりを象徴する出来事だったといえます。
6. 筆箱の中身チェックタイムという恒例行事
平成の学校生活を思い返すと、休み時間に友達同士で「筆箱の中身を見せ合う」という時間が自然発生的に生まれていたことも印象的です。誰かが新しいキャラクターの消しゴムを買ってきたり、香り付きの消しゴムを手に入れたりすると、あっという間にクラス中に広まり、次の日には何人もの筆箱に同じアイテムが並んでいる、ということも珍しくありませんでした。
こうした筆箱チェックの時間は、単なる文房具の情報交換にとどまらず、友人関係を深めるコミュニケーションの一環でもあったといえます。今のようにSNSで簡単に流行を共有できる時代ではなかったからこそ、クラスメイトとの直接的なやり取りの中で流行が生まれ、広がっていったのです。筆箱の中身を通して、その子の個性や好みが垣間見えるという点も、周りの興味を引く理由の一つだったのかもしれません。
7. 香り付き消しゴムとキャラクター文房具の全盛期
平成のポーチ型筆箱を語るうえで欠かせないのが、香り付き消しゴムやキャラクター文房具の存在です。フルーツの香りがする消しゴムや、動物の形をした変形消しゴムなどは実用性よりもコレクション性が重視され、使うことなく大切に保管している人も多かったのではないでしょうか。
また、当時人気だったアニメやゲームのキャラクターがプリントされた鉛筆や下敷き、シャープペンシルなども筆箱を彩る定番アイテムでした。これらのキャラクター文房具は新学期や誕生日プレゼントとして買ってもらうことが多く、新しいアイテムが仲間入りするたびに筆箱の中はますます賑やかになっていきました。実用的な文房具と趣味性の高いアイテムが混在する、まさに平成らしい筆箱の姿がそこにはありました。
8. 大人になった今、あの頃の筆箱を振り返って
社会人になった今、筆箱の中身はシンプルなボールペン一本で済ませている、という方も多いのではないでしょうか。あれほど多くの文房具を詰め込んでいた学生時代の筆箱を思い出すと、必要以上に物を持つことへの憧れや、周りと同じものを持つことで安心感を得ていた当時の心理が見えてくるようです。
一方で、最近は大人向けの文房具ブランドも増え、機能性とデザイン性を兼ね備えたペンケースを愛用する人も増えています。学生時代のようにパンパンに詰め込むことはなくなったものの、お気に入りの一本を大切に使うという楽しみ方は、形を変えて今も続いているといえるでしょう。
まとめ 筆箱の変化に見る平成という時代
カンペンからナイロン製ポーチ型筆箱への移り変わりは、単なる文房具のトレンド変化にとどまらず、平成という時代の子どもたちの価値観や文化を映し出す興味深いテーマです。パンパンに詰め込まれたカラーペンやなぜか常備されていたハサミなど、今振り返ると懐かしく、少しくすぐったい気持ちになる思い出ではないでしょうか。当時の筆箱の中身を思い出しながら、久しぶりに文房具店を覗いてみるのも良い時間の過ごし方かもしれません。
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