平成あるある~アナログ放送終了に伴い、地デジ対応テレビを買うために「エコポイント」を申請し、何と交換するか家族で悩む。
地上デジタル放送への完全移行を控え、家電量販店の店頭に「地デジ対応」の文字が並び始めたのは平成の後半のことです。ブラウン管テレビがまだ現役だった家庭も多く、買い替えを後押ししたのが「家電エコポイント制度」でした。テレビを買うだけでポイントがもらえるという仕組みは当時大きな話題となり、もらったポイントを何に交換するかでリビングが議論の場になった家庭も少なくありません。
「せっかくならお米にしよう」「いや旅行券のほうが得だ」など、家族それぞれの思惑がぶつかり合ったポイント交換会議は、当時を知る世代であれば誰もが一度は経験した平成のあるある光景ではないでしょうか。ブラウン管から薄型テレビへと生活が切り替わっていく過程には、こうした小さなドラマがいくつも生まれていました。今回は、そんな平成のテレビ事情と、エコポイントをめぐる家族会議のあるあるを振り返ります。
1、地デジ化とエコポイント制度が始まった背景
地上デジタル放送への完全移行は、アナログ放送で使われてきた電波の一部を他の用途に活用するために進められた国の施策でした。移行に合わせて、地デジチューナー非搭載のテレビでは番組が視聴できなくなるため、多くの家庭がテレビの買い替えを迫られることになります。
こうした状況を後押しする形で2009年(平成21年)5月にスタートしたのが、家電エコポイント制度です。地球温暖化対策と経済の活性化、そして地上デジタル放送対応テレビの普及という3つの目的を掲げ、省エネ性能の高いエアコン・冷蔵庫・地デジ対応テレビを購入した人に対してポイントを付与する仕組みでした。テレビの買い替えを検討していた家庭にとっては、地デジ化対応と節約を同時に叶えられる制度として注目を集めました。
対象となるのは、統一省エネラベルで一定以上の星の数がついたエアコン、冷蔵庫、そして地デジ対応テレビの3品目です。同じテレビでも省エネ性能によって対象となるかどうかが変わるため、家電量販店の店員に「これはエコポイント対象ですか」と確認しながら選ぶ家庭も多く見られました。制度は当初、購入期限を2010年3月末までとしていましたが、その後も延長が重ねられ、最終的には2011年3月末まで実施されることになります。期限が近づくたびに「今のうちに買い替えたほうがいいのでは」と家族で相談する光景も、この時期らしいものだったといえるでしょう。
2、家電エコポイントで交換できたものとは
付与されたエコポイントは1ポイント1円相当で計算され、さまざまな商品やサービスと交換することができました。交換先として代表的だったのは、商品券やプリペイドカードのほか、地域の特産品と交換できる地域型・全国型の商品券です。省エネ関連の商品やサービスに交換するという選択肢も用意されており、環境配慮を重視する家庭はそちらを選ぶこともありました。
新しいテレビを迎えたばかりの家庭では、「せっかくならお米やお肉などの食品と交換しよう」「旅行券に交換して家族旅行の足しにしよう」といったように、実用性を重視する声が多く聞かれました。一方で、ポイントの申請手続きにはがきや書類の記入が必要で、家電量販店のレシートや保証書と一緒に大切に保管していたという人も多いのではないでしょうか。
交換対象は時期によって見直しが行われており、期間の途中からは地デジ用アンテナの工事費やLED電球などとの交換も選べるようになりました。テレビを買い替えたものの、アンテナ工事の費用が思いのほかかかったという家庭にとっては、うれしい選択肢の追加だったといえます。また、東日本大震災の発生後には、被災地支援のための寄附という交換先も新たに加わり、単なる商品交換にとどまらない使い道が用意されていたことも、この制度の特徴のひとつでした。
3、交換先をめぐる家族会議あるある
エコポイントの交換先を決める場面では、家族それぞれの希望がぶつかることも珍しくありませんでした。実用性を重視する親世代は「日用品や食品に交換したい」と考える一方、子ども世代は「ゲーム機やおもちゃに交換できないか」と提案し、話し合いが長引くというのはよくある光景だったといえます。
また、交換商品のカタログを家族全員で囲みながら「これなら誰も損しない」と全員が納得できる商品券を選ぶ家庭や、逆に「せっかくだから普段買わない少し贅沢なものにしよう」と盛り上がる家庭など、選び方にも各家庭の個性が表れていました。テレビという大きな買い物のあとに、ちょっとした楽しみとしてポイント交換の話題で盛り上がるのも、この時代ならではの光景だったのではないでしょうか。
なかには、交換先を決めるのに数週間かかったという家庭や、結局は誰も強く主張せず無難な商品券に落ち着いたという家庭もあったようです。逆に、祖父母世代が「もったいないから使わずにおこう」と交換自体を先延ばしにし、気がつけば申請期限が迫っていて家族総出で慌てて手続きをしたというエピソードも、当時はよく聞かれました。数千円から数万円分のポイントとはいえ、家族で頭を悩ませながら使い道を決めるという経験自体が、平成らしい家庭の風景だったのかもしれません。
4、家電量販店が賑わった平成のテレビ商戦
地デジ完全移行が近づくにつれて、家電量販店の店頭は地デジ対応テレビを求める人でにぎわいました。薄型の液晶テレビやプラズマテレビが急速に普及し始めた時期でもあり、それまでのブラウン管テレビから買い替える家庭にとっては、画面の薄さや大きさに驚いたという声も多く聞かれます。
店頭ではエコポイントの対象製品であることを示すラベルが掲示され、対象商品を選ぶことも買い替えの重要なポイントになっていました。省エネ性能を示す星の数を家族で見比べながら、「同じサイズならより省エネなものを」と検討する光景も、この時期の家電量販店ではよく見られました。テレビ本体だけでなく、アンテナ工事や配線の相談など、地デジ化に伴う準備で店員と長時間相談する家庭も多かったようです。
当時はテレビの大画面化も進んでおり、それまで20インチ台が主流だったリビングに、30インチを超える薄型テレビが並ぶようになった家庭も少なくありません。「思ったより大きい」「壁掛けにするか台に置くか」といった配置の相談も、テレビ選びの楽しみのひとつだったといえるでしょう。また、地デジ化のタイミングでレコーダーも一緒に買い替え、録画機能やダビング機能の進化に驚いたという声も多く聞かれました。家電量販店の店頭は、こうした平成後期ならではの活気にあふれていたのです。
5、エコポイントが残した平成の思い出
家電エコポイント制度は対象製品の購入期限を2011年(平成23年)3月末に迎え、その後申請の受付も終了しました。制度としては期間限定のものでしたが、地デジ対応テレビへの買い替えを後押しし、多くの家庭のリビングの風景を変えるきっかけになったことは間違いありません。
今となっては、テレビを買うとポイントがもらえて、それを家族で相談しながら何かと交換していたという流れ自体が、平成という時代ならではの懐かしい記憶になっています。当時交換したものが今も家にあるという人もいれば、何と交換したか思い出せないという人もいるかもしれません。地デジ化とエコポイントは、平成後期の暮らしを語るうえで欠かせない、ちょっとしたあるあるエピソードといえるでしょう。
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