平成あるある~インスタグラムにアップするために、壁の羽の絵の前に立ったり、カラフルなスイーツを持ったりする「インスタ映え」を極める。
平成という時代を語るうえで欠かせないキーワードのひとつが「インスタ映え」です。街なかで見つけた壁の羽根の絵の前に立ってポーズを取ったり、カラフルなスイーツを両手に持って写真を撮ったり。そんな光景は平成後期の日常のあちこちで見られました。休日に友人と出かける目的そのものが「映えスポット巡り」になっていた人も少なくないのではないでしょうか。この記事では、なぜ多くの人が「インスタ映え」を追い求めたのか、当時のブームの背景や具体的な行動パターン、そしてブームがもたらした社会や企業側の変化までを、平成あるあるとして振り返ります。SNS世代のカルチャーに興味がある方はもちろん、当時を懐かしみたい方にもおすすめの内容です。
1.「インスタ映え」は平成後期を象徴する言葉だった
「インスタ映え」という言葉は、写真共有アプリ「Instagram」に投稿する写真が、ひときわ見栄えよく美しく撮れている様子を指す表現として広まりました。2017年にはユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞に「インスタ映え」と「忖度」の2語が選ばれており、この年をピークに社会現象と呼べるほどの盛り上がりを見せています。もともとは一部のSNSユーザーが使っていた言葉でしたが、テレビや雑誌でも頻繁に取り上げられるようになり、若い世代だけでなく幅広い年代に浸透しました。写真を「撮る」だけでなく「映えさせる」という発想そのものが、平成後期のカルチャーを大きく変えたといえます。それまでは旅行やイベントの記念として写真を撮ることが中心でしたが、この頃からは「どう撮れば映えるか」を事前にリサーチしてから出かけるという行動そのものが定着していきました。旅行雑誌やグルメサイトでも「映えスポット特集」といった企画が組まれるようになり、行き先を選ぶ基準そのものが変化していったのも印象的です。
2.壁の羽根の絵の前でポーズを取る「映えスポット巡り」
平成あるあるの代表格として挙げられるのが、カラフルな羽根や翼の絵が描かれた壁の前に立ち、まるで自分に羽が生えているかのようなポーズで写真を撮るスタイルです。こうしたウォールアートは商業施設やカフェの外壁、期間限定のイベント会場などに多く登場し、SNSで話題になると瞬く間に行列ができる「映えスポット」として知られるようになりました。撮影のためだけに遠方から足を運ぶ人も少なくなく、壁画の前で順番待ちをする光景も平成後期ではおなじみでした。単なる背景としてではなく、写真の主役として壁画を活用する発想は、それまでの記念撮影の感覚とは一線を画すものだったといえるでしょう。羽根の絵のほかにも、花で埋め尽くされた壁や、大きなハートのオブジェ、鮮やかなグラフィティアートなど、撮影を前提としたビジュアルが街のあちこちに登場したのもこの時期の特徴です。友人同士で順番にポーズを変えながら何枚も撮り直し、一番映える一枚を選んでから投稿するというプロセス自体も、平成後期ならではの光景だったといえます。撮影待ちの行列ができるほど人気の壁画は、地元のニュースで取り上げられることもあり、地域の観光資源としての側面も持つようになりました。
3.カラフルなスイーツを持って撮る「映え写真」の定番スタイル
もうひとつの平成あるあるが、極彩色のドリンクやスイーツを手に持って撮影するスタイルです。虹色のかき氷や、パステルカラーのドーナツ、原色に近いソフトクリームなど、見た目のインパクトを重視したメニューを提供する飲食店が各地で増え、それらを片手に写真を撮ることが一種の「儀式」のようになっていました。味だけでなく「写真に映えるかどうか」がメニュー選びの基準になるという、これまでにない消費行動が生まれた時期でもあります。飲食店側も客の撮影を前提とした店内デザインや商品開発を進めるようになり、SNS映えが飲食業界のトレンドそのものを動かす力を持つようになりました。テーブルの上に自然光が差し込む窓際の席や、背景がシンプルな白い壁の席が人気になったのも、写真映えを意識した客足の変化が影響しています。行列に並んでまで手に入れたスイーツを、食べる前にまず撮影するという流れは、多くの人にとって共通の体験だったのではないでしょうか。同じメニューでもトッピングやカラーの組み合わせを少し変えるだけで「新作」として話題になり、期間限定メニューが次々と生まれていったのもこの時期らしい現象でした。
4.なぜ人々は「映え」を追い求めたのか
背景には、SNS上での「いいね」の数が一種の評価軸として機能するようになったという時代の変化があります。誰もがスマートフォンで手軽に写真を撮り、瞬時に発信できる環境が整ったことで、日常の一コマを特別な体験として演出したいという心理が強まりました。また、同じ場所で同じポーズの写真を撮ることで、友人や同世代とのつながりを実感できるという側面もありました。個人の発信が誰かの行動のきっかけになる、いわば「見せるための体験」を求める価値観が広がったことが、壁画前ポーズやカラフルスイーツブームを支えていたといえます。加えて、加工アプリやフィルター機能が充実したことで、誰でも手軽に華やかな一枚に仕上げられるようになった点も、映え文化を後押しした要因のひとつです。撮影スポットの情報がSNS上で瞬時に拡散される仕組みも、ブームをより大きく、より速く広げる役割を果たしました。友人が投稿した映え写真を見て「自分も同じ場所に行きたい」と感じる連鎖反応が起きやすかったことも、このブームが短期間で全国に広がった理由のひとつといえるでしょう。
5.「映え」が企業やまちづくりに与えた影響
映え文化は個人の楽しみにとどまらず、企業や地域のまちづくりにも大きな影響を与えました。飲食店やアパレルショップは、商品そのものだけでなく店内の内装や照明までも「撮影されること」を前提に設計するようになり、撮影スポットをあえて店内に設ける店舗も増えていきました。商業施設や自治体のイベントでも、来場者がSNSに投稿したくなるような装飾やフォトスポットを用意することが集客の重要な戦略のひとつになっていきます。結果として、来場者自身が無料の宣伝役となり、SNS投稿をきっかけに新たな来場者を呼び込むという好循環が生まれました。これは従来の広告手法とは異なる、SNS時代ならではのマーケティングのかたちだったといえるでしょう。
6.令和の視点で振り返る平成インスタ映え文化
令和に入り、SNSのトレンドは「映え」から「リアルさ」や「共感」を重視する方向へと少しずつ移り変わってきました。加工を前提にした華やかな一枚よりも、日常のありのままを切り取った投稿に価値が置かれる場面も増えています。とはいえ、壁画の前でポーズを取ったり、カラフルなスイーツを掲げて撮影したりした平成の記憶は、当時を過ごした世代にとって懐かしい思い出として残っています。今振り返ると少し照れくさく感じる人も多いかもしれませんが、それだけ多くの人が夢中になった時代の空気を映し出す文化だったと言えるでしょう。当時のスマートフォンのカメラロールを見返すと、似たような壁画の前での写真や、色とりどりのスイーツの写真が何枚も出てくるという人もいるのではないでしょうか。
7.まとめ
壁の羽根の絵の前でのポーズや、カラフルなスイーツを手にした撮影は、平成後期を象徴する「インスタ映え」文化のわかりやすい一例です。2017年に流行語大賞を受賞するほどの社会現象となったこの言葉は、SNSが人々の行動様式や企業のマーケティング手法までも変えた時代の証でもあります。令和の今だからこそ、当時の写真を見返しながら、平成という時代がどんな価値観のもとで動いていたのかを振り返ってみるのも面白いのではないでしょうか。友人と当時の思い出話をするきっかけとして、この記事を役立てていただければ幸いです。
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